注射針安全処理装置
Used Injection Needl Melting Device

prion(プリオン)

プリオンは,
proteinaceous・infectious particle
(感染性蛋白粒子)の略語。

“pro-in”となるのですが,
ごろが悪いので o と i をいれかえ,

 prionと命名されました。

 

 

厚生労働省より、vCJD感染予防処措置として、献血における以下の措置が出されました。
この措置は、人間の発病例が多発した英国における症例(
下記資料2)等を承けたものと思われます。

これは、針刺し事後による「感染」に、従来のHIV,HCV,HBV等に対する考慮も以外に
新たに「
vCJD」が加わった事を意味します。

当社取り扱いの「E-70」は、使用後の注射針を「1200度」の高温で処理いたしますので
当然、院内における
vCJD感染予防処措置の為にも、お役に立ちます。

1-変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染ルートの
調査結果を踏まえた献血に係る対応について

標記については、平成17年3月7日に開催された薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会において当面の暫定措置として以下の結論となった。

1 クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会の調査結果を受けた献血時の対応

 (1)vCJD患者の欧州滞在歴が1990年に英国24日、フランス3日という調査結果に基づ き、
   2月4日の暫定的な措置(※)を次のように変更する案とし、安全技術調査会において専門家による検討を行う。

    ※1980年以降1ヶ月以上の英国滞在歴がある者の献血を制限した暫定措置

   1-1996年までに英仏に1日以上滞在歴がある者の献血を制限する。

    (1997年以降はこれまでの6ヶ月以上の滞在歴の制限を継続)

   2-EU諸国(注)において、2005年1月以降の滞在者については献血における滞在歴の制限は行わないこととする。

        注:  2004年5月の拡大前の15カ国 

 (2)本措置は安全技術調査会での検討後施行とするが、それまでの間、速やかに措置を実施できる体制を整備するよう、
  日本赤十字社に対して運営委員会の結果を速やかに伝達し、指導することとする。 また、血液製剤の安定供給に関する
  調査を同時に行い、その影響を把握する。

 (3)献血後に新措置に不適合な献血者が判明した場合に、ロット等の登録を行い、将来的な遡及に備える案として
  安全技術調査会において検討する。

 

2 今後のvCJD対策の強化について 血液製剤によるvCJDの感染を防止するための対策として、
  次の対策を推進することとする(安全技術調査会において検討)。

 (1) 輸血用血液製剤(赤血球、新鮮凍結血漿)の保存前白血球除去の早期導入

  1-平成16年10月以降、成分採血由来の血小板についてはすべて白血球除去製剤への切り替  えを図った。
   その他の成分採血製剤の実施を平成17年度中に完了させるよう指導する。

  2-全血採血製剤(全血、血漿)の白血球除去フィルターを組み込んだ全血採血バッグの仕様変 更を当初予定の
   平成18年度よりも前倒しするよう指導。 

 (2) 血漿分画製剤の製造工  程の異常プリオン除去効果の検証の推進

 平成15年度から製剤メーカーに指導してきた異常プリオン除去効果の検証を推進し、異常プリオンに対応した
 製造工程の改善を指導していく。

 

3 上記内容に対する問い合わせ窓口   

厚生労働省医薬食品局血液対策課 電話 03-3595-2395

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/03/h0307-5.html

 

 

  • 2-BSE/CJDの科学面での輸血に関する英国政府の追加措置

英HPA(Health Protection Agency) HPA/CDR  "CDR Weekly Vol.14,No39 2004年9月23日

現在までに英国の血漿ドナー9例がvCJDを発症したことが分かっており,合計で23回血漿が献血され,献血された血漿は第8因子,第9因子,アンチトロンビン,静注免疫グロブリンG,アルブミン,筋肉内ヒト免疫グロブリンおよび抗D抗体の製造に用いられた。関連する血漿製剤による治療によるvCJD感染のリスクの可能性は不明である。血漿製剤のレシピエントにおける症例はない。

2003年12月にvCJDにより死亡したドナーからの献血を投与された数年後のvCJDによる死亡例が発表されており,2004年7月には輸血関連のvCJD感染の2例目の疑い例が確認されている。これら2例は血液および血漿製剤の感染性の可能性に関する懸念を増大させた。vCJDの医原性伝播のリスクの可能性(医療施設経由の疾患または感染の獲得)を低減するため,CJDIPは後にvCJDを発症した人からの輸血を用いて製造された血漿製剤を投与された英国の幾人かのレシピエントに対し,特定の特別な公衆衛生的予防措置を講ずる必要があると勧告(血液,臓器または組織を提供しないこと,および内科,外科または歯科治療が必要な場合は医師に告知すること,後に緊急外科手術が必要な場合には家族への告知を検討すること)する。

 

暴露した患者の感染の可能性のレベルを評価するため,CJDIPは,vCJD血液リスク評価および血漿製剤の特定のバッチがどのように製造されたかに関する情報を用いる。CJDIPは,特別な公衆衛生的予防措置を講ずる必要のある可能性(High,Medium,Low)に従い,関連する血漿製剤の各バッチを分類すること,vCJDのリスクのある患者に対する主な通知内容(筋肉内免疫グロブリンの投与を受けている患者はリスクがあるとみなされず措置は必要でないことなど)についてなど記載。"

 

輸血を介したvCJDの潜伏感染例

Peden AH, Head MW, Ritchie DL, Bell JE, Ironside JW. Preclinical vCJD after blood transfusion in a PRNP codon 129 heterozygous patient. Lancet. 2004 Aug 7;364(9433):527-9.

輸血によると思われるvCJD感染の2例目例.2003年の第一例目診断確定の後,同じドナー由来の供血から輸血を受けた受血者が17名が同定され,フォローアップを受けていた.今回の報告は,その17名中の1名で,1999年に輸血を受けて,5年後に,腹部大動脈瘤破裂で死亡した.生前には神経学的症状はなかった.この患者のプリオン蛋白遺伝子の129番目のコドンはmethionine/valineのヘテロだった.(full sequenceの分析は許可されず)

 

剖検では,

1.脳は1337gと正常重量であり,病的所見は認められなかった.ウェスタンブロットと免疫組織化学で脳,脊髄を検索したが,プロテアーゼ抵抗性のプリオンは認められなかった.

2.脾臓には,ウェスタンブロットと免疫組織化学の両方で,プロテアーゼ抵抗性のプリオンが認められ,ウェスタンブロットのパターンは既知のvCJDと同様だった.免疫組織化学による局在は,脾臓の胚中心に認められた.

3.プロテアーゼ抗性のプリオンが認められたのは,脾臓と一部の頚部リンパ節に限られており,虫垂,大腸,扁桃,後根神経節,筋肉のいずれにも認められなかった.

 

この論文が示したのは,

1.輸血でvCJDがうつること

2.潜伏感染ではあるが,プリオン蛋白遺伝子129番目のコドンがmethionine/valineのヘテロでも,

  輸血では感染すること

3.このような潜伏感染者から,輸血,手術などを通して医原性感染が広がる可能性があること

一方,いまだにわからないのは,ヘテロの潜伏期間が長くても.ついには発症するのか,あるいは一生発症しないで潜伏感染のまま留まるのかである.これは,時間がたたないとわからない.それも,5年,10年,あるいはそれ以上.私にとっては,わからないまま時がたつのが一番いい.いつまでもこのネタで物が書けるからだ.

また,この症例報告では,2003年にNEJMで孤発性のCJDで,脾臓や筋肉にプロテアーゼ抵抗性のプリオンを検出したと同様の,リンタングステン酸を用いた高感度ウェスタンブロット法とモノクローナル抗体が用いられている.従って,この報告から,vCJDでは,潜伏感染者でも,孤発性CJDと異なり,中枢神経外組織にも感染性があるとは結論できない.

1999年から,英国では,国内の血液もしくは赤血球細胞の輸血による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の伝播に対する予防措置として,白血球除去を導入した。白血球除去の有用性を評価するために,スクレイピーに感染したハムスターの血液および商業用フィルターを用い,試験を行った。American Association of Blood Banks(AABB)基準に従い血液細胞の回収および白血球細胞の除去を行ったところ,白血球数そのものは,1/1000近くになった.しかし,その血液をハムスターの脳内に接種して残存感染力価を測定したところ,白血球除去した感染血液における伝達性海綿状脳症(TSE:平たく言えば感染性プリオン)総感染力は,対照の半分以上(58%)も残っていた。白血球除去は血液から白血球細胞に関連したTSE感染力の除去には必要であるが,それだけでは血液感染性のTSE感染力を除去するのに十分ではないことがわかったわけだ.そうなると残りの感染因子はどの成分にあるかという話になる.著者らは,血小板分画にはないことを確認しており,現在,赤血球分画にても検討中ということだが,白血球分画以外の感染力価は,血漿が一番疑わしいと言っている.

 

輸血を介したvCJD感染

最も頻度の高い孤発性CJDが輸血によりうつったという報告はない.しかし,変異型CJDは輸血でうつることがあることを示した報告が出た.

C A Llewelyn and others. Possible transmission of variant Creutzfeldt-Jakob disease by blood transfusion. Lancet 2004;363:417-21

献血後にvCJD感染が確認されたドナー15例の献血血液を受けた48例について調査した結果,次のような例が判明した.白血球除去を行っていない時代、96年に、62才の人が5パックの濃厚赤血球の輸血を受けた。そのうちの1パックが24才の人からだったが、そのドナー(供血者)は、3年4ヶ月後に変異型CJDを発症した.一方、輸血を受けた(レシピエント)の62才の人も、6年半後に変異型CJDを発症した。なの,これらのドナー,レシピエントの二人とも剖検が行われ、診断は確定している。レシピエントの方は,62才という高齢(変異型CJDの患者の多くは20-30代で、62才というのはこれまでの139人の中で2番目の高齢)と,変異型CJDのごくまれな頻度から考えて、BSEagentの経口摂取という通常ルートではなく、vCJDの原因は輸血が原因と考えるべきである。

これは,輸血によりヒトのプリオン病が感染したことを示す,初めての報告だ.たしかに,最も一般的な(それでも100万人に一人なのだが)孤発性のCJDと違って,vCJDは扁桃や虫垂など,リンパ組織にも高率に異常プリオンが証明される.だから,末梢血のリンパ球も異常プリオンを持っている可能性がある.また,vCJDは非常にまれな病気だから,後に,vCJD患者と判明した人から輸血を受けた人がvCJDになれば,直接の因果関係がある可能性が高い.英国MRC(Medical Research Council)のシニアメンバーは,各医学会に対し,輸血によってBSEに感染した可能性のある患者の正確な定義や責任を定義するのに段階を踏むように喚起している。一方,英国政府は,vCJDの予防策として,1980年以降輸血を受けた人による献血の禁止を発表した.(2004年3月16日 ロンドン AP-TK・共同)

 

献血の資格を変更する新規予防措置は2004年4月5日より施行された。1980年以降に英国内で輸血を受けた人は今後献血ができなくなる。この追加的な供血者選択基準はNational Blood Serviceを含む4つの全てのUK Blood Servicesで2004年4月5日から導入された。England's National BloodService は、このロスをすべての供血者の3.2パーセント(52000人)とを見積もった。

さらに英国では,2004年8月2日からは,下記の制限が加えられた.("CDR Weekly Vol.14,No30 2004年7月22日News保健局(Department of Health)によるクロイツフェルト・ヤコブ病最新情報:2004年7月22日,)

1.過去に輸血を受けたかどうか定かではない人

2.成分輸血も,通常の輸血と同様に制限対象となる

 

出典:「お医者さんと生命科学系の研究者のためのページ」池田正行


Copyright Power Aid Inc. All rights reserved.